いつもと変わらない授業中。
大したこと言わない先生の方をぼんやり見てるとたまに目が合う。
そうやってたまに目が合うとにっこり笑いかけてくれる。そこまではいつものこと。
でも今日は違う。今日は特別な日。
一年に一度しか訪れないスペシャルデー。
だから、あたしは。
「各自適当に教科書開けー。」
「先生適当ってなんですか、具体的に何ページか指定してください」
やる気のない先生の言葉に突っ込んだのは桂くん。
先生は眉を顰めて桂くんを見てから
「桂ァ、ンなこと気にしてたらハゲるぞ…って、あーゴメン、もうその長髪の下はやべえんだったな…」
なんてフザける。
あたしはそんな先生をじいと見つめる。
まだ目は合わない。
なんだかんだで始まる授業。いつもの通りうだうだ。
適当に教科書を読んで、適当に先生が解説をして。
あたしは授業なんてそっちのけ。目が合うことをひたすらに祈りながら先生を見続ける。
でも今日に限って中々合わない視線。
あたしが諦めて、下を向こうとしたその時。
あたしの視線と先生の視線がかみ合って先生が言う。
「、さっきから熱い視線感じるんだけど何?え?何?もしかしてもしかしちゃう?」
ふるふると左右に首を振ってからすかさずあたしは口パクでこう伝えた
せんせい おたんじょうび おめでとう
そしたら先生ちょっと照れたよね
あ何、そういうこと。だとか何とか呟いて先生は目をそらしちゃったけど
そんな先生のほっぺは、いつもよりほんの少しだけピンク色だった、よ。
授業中の小さな幸せ
(06/09/21 企画:Dear Heroさま お題:siestaさま)