銀八先生のその言葉を聞いてクラス全員が凍りついた
あの沖田くんまでもが凍りついた

こんなくだらない規則を考えたヤツの顔を真剣に拝んでみたいと思った







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文化祭はコスプレ義務です






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「勿論、お妙さんはナースですよね!」

鼻息も荒く近藤クンがお妙ちゃんに詰め寄った。どうせまた殴られるんだ、いい加減学べばいいのに。
学習能力のないあたり近藤クンらしいとおもう、っていうか、学習する近藤クンなんていやだ。

「さっちゃんは何のコスプレするの?」

私はたまたま近くにいた猿飛サンに話しかける。そしたら何ばかなこと言ってるの、的な目つきで見られて

「決まってるじゃない…忍者よ、くの一よ!」

そっか、へえ頑張って。そっけなくそう返して私は考えこむ。どうしよう、私何のコスプレしようとか思いつかない…
神楽ちゃんは…うん、定春くんのコスプレとかしてたらいいんじゃない。桂くんはエリザベスのコスプレでもしてればいいんじゃない。見分けつかなくなって面白いかもしんないよ。

、何か言ったアルか」
「何か心の声的なモノが聞こえたんだが…エリザベスのコスプレ、いい考えだ」

あんたらもう人間じゃないよ! 何か心の声的なものって…普通聞こえない、よ…。
着々とクラスの皆が何のコスプレをするか決めていく中、私はまだ思い悩んでた。
だってそんなの、思いつかないよ普通。思いつくほうがキモチワルイよ。
…っていうか、変な規則つくんないでよね…!


「で、ー。 お前は何にすんだ?」

何を思ったか銀八先生が話をふる。だめだって先生、私をいじったら横のサド王子が目を覚ますって…!

「むしろ全裸の人のコスプレとかどうですかィ」
「そりゃもう、沖田くん、コスプレとかじゃなくて私に全裸になれっておっしゃってるんですよね?」
「ったりめーでィ。ナンか楽しみがねえとコスプレなんてやってられねえや」
「あんたほんと最低だな!」
「お、全裸イイんじゃねーの。沖田ナイスアイデア!」
「ナイスアイデア!じゃないですよ! このセクハラ教師が! 本格的に糖尿になって困ればいいんだ!」

怒りのボルテージマックスのときに煽られたんだ、私だってたまったもんじゃない。
思わず攻撃的な暴言を吐くと、先生が内心ですごいショックを受けてるのが手にとるように解った。
はあ、と溜息をついてうーん、と思い悩んでから、ふと思いついてこう言った。




「ラムちゃんとか、しようかな」







教室中を、え、お前が…?的な空気が支配した。
(なんかもうホント私泣くよ?泣くよ?)




先生だけが嬉しそうにイイじゃん、イイじゃんと私に擦り寄ってきてた。それはそれで複雑だと思った。