「あ」

ちゃん、どうしたの急に、変な声出して…頭おかしくなった?」

「(狽ィ妙ちゃんキツ…!)え…あー…あの…お弁当忘れちゃった…」

「マジアルか。、お前馬鹿アルな」

「学食ヘ行ケバイイジャナイデスカ、テイウカ、行ケ」

「だめだ私、今日お財布も忘れちゃったんだもん…」



「「「ほんとにバカ?」」」





はい、その通りで御座います。






*






餌付け






*





幾らお弁当もお金もないからって昼ヌキでは流石にキツイ。
女子高生だもの、それはキツイ。成長期だもの、かなりキツイ。
なので私は、クラスの皆から、寄付を募るコトにした。


女子……は無理だな、このクラスの女子は本当に怖い。
でも男子はといえば、本当に怖いのは土方くんと沖田くんと高杉くんとそれからヘドロくんくらいで
あとの皆は案外チョロそうだ。よし、ターゲットは男子に決定。


「ね、ね、新八くんっ」

ちゃん、どうかした?」

「私ね、お弁当もお財布も忘れちゃったの…何か恵んでくれない?」


最初はハードル低そうな新八くん。
から揚げくらい持ってんじゃないか、って踏んだんだけど…

「あ…姉さんの卵焼きしかないんだけど、それでよければ…」

とか、げんなりした顔で言われちゃったら、「あ、ごめん、ううん、いい!要らない!ありがとう!」としか答えられない。(お妙ちゃんの卵焼きは幾らなんでも拷問でしかないよ。罰ゲームでしかないよ。)
でも新八くんは何も持たない私にお弁当箱のフタと、割り箸を一個貸してくれた。何て優しい子なんだろう、ありがとう新八くん、ありがとう…!


次はミントン山崎くん。山崎くんは、たまにミントンして遊んであげたりとかしてたから、きっと何かくれるはずだ…!

「え?おかず?全然いいよー」

案の定、卵焼き(ちゃんと綺麗な黄色でした)とウインナーを一個ずつくれました。ありがとうミントン!今だけ愛してる!


それから長谷川くん…と思ったけど、求人誌を見て溜息ついてたので、(そしてそれがなんともいえず哀れだったので)諦めました。




「あの、あのー…桂くん、ちょっといい?」

「どうした。」

「お弁当をさ、あの…分けてほしいんだけれど。かくかくしかじかで…」

「そんなことか、構わんぞ。どれでもすきなものを一つ、持っていけ」


次のターゲット、桂くんはそう言ってずずいとお弁当箱を差し出してくれた。
ご飯の部分が、でんぶだとかそぼろだとか海苔だとかで可愛らしく、エリザベスくんのお顔になってる。

「え…じゃあこれ。」

若干イラっときたので、そのエリザベスくんの目玉の部分を器用にくり抜いてやりました。(してやったり!)
あの後の桂くんのちょっと衝撃を受けた顔が忘れられません。


よーし、最後は近藤くん!と私が気合を入れたそのときです。


「おい


「狽ヘはははいッ!?」


なんと土方くんに声をかけられました。(消しゴムの一件以来怖くてしょうがないんですが…!)


「テメェ、弁当忘れて困ってンだろ?」

「はい、ええ…でも、決して土方クンに迷惑はかけないですから…!」

「俺も分けてやらァ」

「はい、すいませ………え?分け?」

「オラ、早く入れ物(っていうか、フタ)出せよ」

「え…ほんとに?(何この人、かなり優しいじゃない…!惚れそう、ってか惚れる…!)」






にゅるり









「……えーと、あの…土方くん、これ何ですか?」

「見てわかんねェか。マヨネーズだ。」



「うん…………これ…え、…これ…凶器?」










「まあ、遠慮せずに食え」









 、 死んできます!