「おーいー?」
うららかな午後。今日は久し振りにとても過ごしやすいお天気。
暑くもなく寒くもなく、お昼ご飯を食べて、お腹一杯になって、窓際の席で、そして銀八先生の授業で。
眠くならない方が無理な相談というものだ。
も、自分の机の上で安らかな眠りと言う名の大海へ旅立ったところだった。
*
昼寝の時間
*
「先生、だめです。こうなったはきっと起きないアルよ」
留学生の神楽が、挙手して言う。
するとそれを聞いた銀八は眉を顰め、「マジでか」等と呟き、さも面倒くさいと云わんばかりの表情を浮かべた
しかし放置するわけにもいくまい。(一応)自分の授業で、自分の受け持つ生徒なのだ。これ位の教師心は幾ら銀八でも持ち合わせている。
「ー。 いい度胸じゃねえか、お前、成績楽しみにしてろよー。って聞こえてないだろうけど。」
「…すぴー ん、ごっ すぴー」
銀八の遠まわしな優しさにイビキで答える。さすがの銀八もどん引きである。イビキかくまで寝るか普通、といったところであろうか。
銀八のみならずクラスの半数は引いている。どんだけ寝不足やねん!みたいな、そんな雰囲気がクラス中に満ちる。
「ちゃん、ちゃん」
偶然近くの席だった志村(弟の方)が気を利かせてのわき腹を突っつき、起こそうと試みるものの、起きる気配はない。
むしろ眠りは徐々に深みを増していくようで(いや、今でも十分深いのだが)、何の夢を見ているのか、幸せそうな表情まで浮かべている。
授業中にここまで爆睡する生徒など滅多と居ないだろう(しかも女子で)、ていうか、居てほしくない。
その処理に困った銀八は、大きく長く溜息をついてから、の席につかつかと近寄った。
「ちゃーん」
「ん…っふふ、…すぴー」
「うっわ、寝言で笑うとかありえねーでしょ、普通… ちょ、マジ起きろっつーの」
若干、顔にタテ線を入れた銀八がの机の脚をがん、と軽く蹴る。当然机はガタン、となり、そこに突っ伏して寝ていたもガタンとなる。
衝撃でも「あひィ!」等という凡そ女子高生らしくない間抜けな声をあげて目を覚ます。
「じじじじじじじ…地震ですかあ!?」
寝起きの所為か、まともに状況判断のできない。地震だと勘違いし、慌てて机の下へ潜る。
完全に潜り終えてから、気付いたのは自分に向けられるクラス中の冷たい視線…
「え……じ、地震…」
「「「「ンなわけねーだろ」」」」