「あ、アイスまた当たった」
「ほんとだ。よく当てやすね、
「ね。こんだけあたると奇妙だよね」
「しかも、当ててんのがお前だっつーのが余計に」
「…ちょっと、それどういう意味ですか。私が幸薄いって言いたいんですか。」
「それ以外のどんな意図があるってんでィ」
「………」







*





アイスの当たりくじ






*







ここ3日、私の日課はアイスを食べることである。(ちょっと暖かくなってきたから…)
そして、自分でもドン引きするくらい、必ずといっていいほど当たる。ラッキーといえばラッキーだが、おなかを壊すのでできればそろそろ遠慮していただきたい。
いや当たってるのに文句言っちゃいけないってわかってるんだけど、わかってるんだけど! いくら好きでも限度があるっしょ! アイス当たるなんて!

「こんなトコでちいせえラッキー使ってっから、普段の生活があんなに幸うすいんだろィ」

「誰のせいだ、誰の」

「俺以外。あ、土方とか」

「ばっ! 土方くん悪くないでしょ! つーかお前だよお前! っていうか、『あ、』ってなんだ! どこまでも適当か!」

「ツッコミばっか上達しやがって」

「それも誰のせいだ!」

あーつかれる。土方くんと二人きりもいろんな意味で疲れるんだけど、コイツと二人きりもほんっと疲れる。誰でもいいから助けてほしい。この際さっちゃんでもい…いやさっちゃんはだめだ。余計話がややこしくなる。
そしてもう一つ疲れるのは、当たってしまったアイスだ。これが当たって、調子にのって引き換えにいったせいで、5時間目をサボる羽目になってしまった。何故か沖田くんも一緒に。

「何故かって、そりゃァ寂しいお前に付き合ってやってんだろがィ」

「違うでしょ、5時間目面倒だっただけなんでしょ、面白がってるだけなんでしょ…!」

「よく分かってるじゃねーか」

くっ…悔しい。こいつ、黙ってれば可愛い顔してんのに、なんでこう憎たらしいんだろう…! そして歯が立たない自分! しっかりしろ!
そうこうしてる間に、アイスがちょっと溶けてきた。やばいやばい、早く食べてしまおう。私はぺりりと袋を破いた。

「それ、食べちまうんだ?」

「当たり前でしょー。もったいないし、おいしいし」

「後半が本音だろ。しらねーかんな、太っても」

「…」

「どう考えてもカロリー過剰摂取じゃねーかィ」

「……」

「返す言葉もねーだろィ」

「…うるさい、沖田のくせに」

「俺ァいーんだぜィ、が太ろうと何しようと。」

「そんなに言うなら、沖田くんが食べてよ」

ひっじょーに憎たらしいことに、沖田くんは、私がこう言うや否や、私の手からぱくりとアイスを、大きく一口かじっていった。
唖然とする私に目もくれず、沖田くんはごくりと白い塊を飲み込んで、私をじーっとみてから大きなため息。

「あー、これがじゃなくて、もっとかわいい女子からだったらよかったのに…」

「沖田テメ、全力でしばくぞ」