私のクラスは3年Z組(ぜっとじゃなくて、ずぃーらしい。でもサンズィーより、サンゼットのほうが、かっこいい気がするのは私だけかなあ)
担任は坂田銀八先生。



「普通」のクラスです、だなんて、とてもじゃないけど言えません。






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消しゴム忘れた






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今はちょうど2時間目。
そして私の席はちょうど、サド王子こと沖田くんの隣。


いつ厳しいつっこみ(という名のいじめだよ、あれは…)を受けるかわかんないので、私は極力、沖田くんの視界に入らないように、琴線に触れないように振舞うことに慣れてしまっている。
今日も静かにノートをとり、静かに書き損じ、静かに消しゴムを使おうとしたその瞬間…



、ちょっと消しゴム貸してくだせェ」

「え?」

「だから消しゴム貸してくだせェってば」

「え、あ、消しゴム…? ……沖田くんその筆箱に入ってる白い塊はなに?」

「これはアレでさァ、あの…アレでさァ」

「なに?どれ?」

「いいからさっさと貸せっつってんですよ」

「ごめんなさい」


沖田くんの目が一瞬マジになった(瞳孔が開いた?)ので、私はすかさず消しゴムを差し出す。
早く返してね、って言いたいけど、言えない。だって怖いもん。

仕方ないから私はシャーペンの上の蓋を開いて、シャーペンにもともとついてた消しゴムで間違えたところを消す(これいやなんだよね…汚くなっちゃうんだもん。)
しばらくおとなしく待ってたんだけど、消しゴムが中々帰ってこない……「おきたく、って。エエエ!?」



「何でィ」


「ちょ、まっ…アンタ人の消しゴムちぎって何してんのぉっ!」


思わず声をあげてしまう。あろうことか沖田くんは私の消しゴムをあの綺麗な指で細かくちぎって土方くんに投げつけている。(土方くんは気付いてないみたいだけど…あ、気付いた!にらんで…にらんでる!)


「総悟、てンめ…!」


土方くんの口がそう動く。(ていうか、口許ひくひくしてる…!こわい!こわいって!)


「土方さん違いまさぁ。ですぜ」


……へ?

「ハァ!? 何言って………ええええええ!?」


私の机には細切れになったいくつかの消しゴムの切れ端と、もともと綺麗な直方体だったはずの消しゴムが転がってる。





、てめえイイ度胸じゃねえか…」


「ちが…違う!沖田くんが!」


「俺のせいにするなんて最低のヤツのすることでィ。見そこなったぜ






くそ、お前なんかサディスティック星に帰ってしまえ!ちくしょーうっ!