だめだって、まじで、あの人は怖いんですって…!
何、え、何、日直が一緒とか…真剣に銀八先生の嫌がらせかと思いました、よ。
もうこれ、肝試しより恐怖だよ。マジで。
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強制参加肝試し
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放課後、人影も疎らになった時間帯。
私は教室で土方クンと二人きりになり(だって日直なんだもん)そりゃもうビビりまくっていた。
「」
「(ビクッ) はいィ!何でございましょう土方クン!」
「黒板掃除と日誌、どっちがやりてェんだ」
「え、そんな、私めはなんでも構いません!っていうか、むしろ、どっちもやります!(だからにらまないで…!)」
別に土方くんに睨んでるつもりはないんだろうけど、どうしても睨まれてるみたいに感じちゃう。
これって失礼なんだろうな、と思うんだけど、でも何だかもう構えるのが癖みたいになっちゃってて、今更直らない。
「バカ、そういうワケにもいかねェだろうが。 じゃあ俺が黒板掃除すっから、オメー日誌書けよ」
「はい、そりゃもう! 喜んで!」
土方くんが黒板へ向かう。
普通にかっこいい人だし、多分、土方くんと一緒に日直だなんてほとんどの女子が憧れるシチュエーションなのかもしれない。
でも…なんか怖いんだ。っていうか、あの消しゴムの一件以来ほんとに怖い。(畜生、沖田め!)
マヨラーな辺り悪い人じゃないんだろうし…ほんとあんまり構えて喋ったら失礼だよな。…うん、直さなきゃ。よし。
「オイ、」
「狽ヘいィイ! なななんですか、私日誌ちゃんと書いてますよ、ほら、『今日の日直 ・士方』って書きましたよ!」
「いや、その説明は別に要らねェ」
「え、要らなかったですか……(しょんぼり)」
「(はあ…)お前、俺が怖ェか?」
ギックゥウウ!す…鋭すぎだろ…!
「やややややややや何をおっしゃいますか土方さん…!」
「いやお前それ、明らかビビってんじゃねェか」
「ななな何言ってんの、これはビビってんじゃないよ、その…あの…喜びに打ち震えてんですよ!土方くんと喋ることなんて滅多にないから、喜びに打ち震えてんですからね!言っときますけど、ビビってないですからね…!」
うっわあもう、墓穴掘ってんじゃない私!
これはアレだよ、土方くんを怒らせるか何かしたんじゃない。うわ、もうマジでごめんなさい…とかって心ン中で謝ってもしょうがないでしょうが自分んん!
あ、あ、謝るのよ、わたし…っ
ぷっ
え?
「っく…おま…面白ェな(顔の変化が)」
「…おも…面白いとか、失礼ですよ…!」
なんだ
笑えるんじゃない、土方くんも。
怖がってた自分がばかみたいだ。
明日からは 笑って 目を見て話せればいい、な。
(え、うそ…何これ、こんなハッピーエンディング(?)でいいの、え、いいの!?)
「おいテメェ、『土方』じゃなくて『士方』になってんですけどー」
「狽ヲッ、うそ、え、ごめんなさ…!(笑顔が怖いよ士方…あ、土方くんっ)」