「変な歌」

きみは笑った。綺麗な亜麻色の髪を揺らして、ころころと、まるで小さな鈴か何かの様に。

「これがロックというものでござるよ」

きみはふーん、と何度か頷いて、それから「すきになれるかな」と呟いた。

「別に無理してすきになること等ござらぬが」

笑って言うと、きみはむっとした顔をした。

「万斉のすきなものはあたしもすきになりたいの。」

不機嫌な顔はどこへやら、きみは無邪気ににっこり。

風が吹き抜けてきみの髪がまた揺れて、もう一度、さっきよりも深く深くきみは笑む。

「ならば拙者がのすきな曲を作り申そう」

一瞬、驚いてこちらを見たきみに、畳み掛けるように「どんな曲がすきでござるか?」と問う。

そうだな、きみは幸せそうに視線を宙に泳がせ、考えこむようなそぶりをみせてから、



「ラブソングがいいな。とびっきり可愛くてとびっきり切ないの。」



きみのその表情が深く拙者の心に焼き付いて、拙者は小さく笑みを漏らした。

「わかった、そうしよう」



いつか拙者がきみにその曲を贈ったときに、きみはまた「変な歌」と笑ってくれるだろうか。
そうやってこれからも、拙者ときみが続いていけばいい。





きみに唄えば

(06/11/1 5566hitありがとう!殊音さまへ。)