あたしがずっと欲しかった言葉が
いつも夢のなかでしか聞けなかった言葉が
現実では決して語られるはずのない言葉が
いちばん言うはずのない
いちばん言ってほしかったひとの口から
こぼれて 今あたしの前に形となって現れたんです。
どうすればいいか解らなくて あたしは
あたしの、声は。
「………土方さん、今のもう一回言ってください」
「ッ、テメ…。 絶対ェ言わねー、二度と言わねー」
「なんでですか、言ってください」
「恥ずかしいからに決まってんだろ!」
「だってよくきこえなかったんです。っていうか聞こえたんですけど、心のファインダーに収めたいんです。こんな…え、こんな記念日ですよ土方さん!あたしたちの歴史の始まりなんですっ、もご」
そこまで言って口を塞がれる。それ以上言うと幾らでも斬るぞ、なんて言う土方さんの顔がちょっぴり赤くて、それでいて口を塞がれてる所為か息苦しくて、あたしはああ夢じゃないんだ、なんて呑気なことを考えてる。
土方さんからあたしに愛してる、だなんて。ありえなすぎて涙がとまらない。なんて素敵な言葉なんだろう、愛してる、って。
何度夢に見たことか。何度願ったことか。
叶うなんて、さらさら思ってもいなかったのに。
「土方さん」
「今度は何だ…」
疲れて溜息をつく土方さんを見据えて、あたしは。
「お返事します。」
「大体想像はつくンですけど」
「想像できても黙っててください。その想像には今すぐ蓋をしてください。」
「わァった、わァったから早く言え」
あいしてます。
そのとき、ぽろりと涙がこぼれて
折角のことばなのに、声がかすれてしまって
そしたら土方さんが優しく抱きしめてくれて、 それから。
愛しているという声が
(06/09/19 先は御想像におまかせします)