「さっむー」
もうすぐ冬がやって来る。その所為か近頃めっきり空気が冷たい。
予想外に寒い外気に、あたしは薄着で歩いてることをちょっぴり、いやかなり後悔してる。
そんなあたしの横を歩く銀ちゃんはと言えば、ちゃっかりマフラーなんて巻いちゃってどこか遠くを見ていた。大方パフェのことでも考えてるんだろう。
横で彼女が寒がってるって言うのに何てヤツだ。クズだ、人間のクズだ。死んだ魚以下だ!
心の中でそう罵倒して睨みつける、と、私の念に気付いたのか銀ちゃんがふとこっちを見る。
ふんっと鼻を鳴らして思いっきりそっぽ向いたら、あたしの後頭部に向かって銀ちゃんが「感じ悪ぃー。愛しい愛しい俺に向かって何その態度」とか呟いてる。
「感じ悪いのはそっちでしょ!寒がってるあたしの横でのうのうとマフラーなんかにくるまりやがって…!」
少々の憎しみをこめて、そっぽを向いたままで。あたしは物凄い低い声でそう言ってやった。
そしたら銀ちゃんがちょっと引く気配がして、尚更あたしの機嫌はわるくなった。
そりゃあたしが悪いんだよ、解ってるんだよ!でも気配りってのを見せて欲しいっていうあたしの気持ちもわかってくれたっていいじゃない。
ていうか普通、するでしょ、そういう気配り。きっと新八くんとか土方さんとかだったら今ごろマフラー貸してくれてるよ?なんて無神経なんだろう銀ちゃん…。
なんで銀ちゃんなんて選んじゃったんだろ、あたし…。
あたしの暴走気味な葛藤を見ぬいたのか、銀ちゃんがあたしの頭をつかんで無理やり銀ちゃんの方を向かせる。
「痛、銀ちゃん痛…っ!加減とかそういうのあるじゃん、…っ」
銀ちゃんのあまりにも乱暴な行為に抗議しようとした矢先、あたしの口は銀ちゃんのそれでふさがれてしまった。
「あーもうぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ恐竜の赤ん坊ですかコノヤロー。」
怒ってるかと思った銀ちゃん、その表情を伺い見ると意外にも銀ちゃんは口許に笑みを湛えていた。
「じゃあぎゃあぎゃあ言わないから、この寒さどうにかしてよ。早く春にしてよ。万事屋なんでしょ」
銀ちゃんの笑みにふざけてもいい、とお許しを得たような気がしたあたしは我侭を言ってみる。
「引きうけてもイイけど報酬はずんでくれるんだろーなァ」
「さっき依頼もしてないのに持っていったじゃん。あたしの唇は高いよ、銀ちゃん」
ニヤリ笑って言うと銀ちゃんも「ったく…には敵わねーわ」とニヤリ笑って。
そしてあたしは銀ちゃんに抱きしめられる。
いつからか白い花びらが空から舞い降りてきて、あたしはまるで花吹雪の中みたいだと感じた。
こぼれおちる、空から
(06/11/04〜12/20までの拍手お礼夢。いつまでたってもエセ銀ちゃん…orz)