「俺との子ができたらさあ」
唐突に銀ちゃんはそんなことを言った。
雑誌を読んでたあたしは思わずぶっと噴き出して、それからけたけた笑って、それからすぐ真顔になって、淡々と言ってやった。
「やだよ、あたし子供嫌いだもん」
銀ちゃんがちょっと傷ついた顔をしたから、あたしは調子にのってさらに畳みかけたのだ。
「ていうか、銀ちゃんの子って…その子すっごいぐうたらになりそう」
言ってあたしがまた笑ったら、傷ついた顔してた銀ちゃんがいつもみたいににやにや笑った。
「ばーかお前、俺はそういうの厳しいから…っつーかお前の方が厳しそう。鬼みてぇに」
銀ちゃんはきっと小声で言ったつもりだろう、でもあたしにはしっかり聞こえた。
「ぎーんちゃーん?」
ジトっとした視線を投げかけつつもニッコリと笑ったならば、銀ちゃんはバツが悪そうに視線をそらして「…ごめん」と小さく呟いた。
「わかれば宜しい」短く言ってあたしは雑誌に視線を落とす。
そのまま止まってしまった会話に居たたまれなくなったのだろう、銀ちゃんがあたしの肩にもたれかかる。
自然に笑みが漏れて、あたしは思った。
こどもなんて嫌いだけれど、あなたの子なら愛せるわ
そう、例えばあたしが怒ったら
困ったように頭をかいて
静かにあたしに擦り寄ってくる
そんなあなたにそっくりの、かわいい子なら。
いつかの未来を
(07/05/04〜08/03/05までの拍手お礼夢。やっと降板です!)