「えええッ、神楽ちゃん、眠り姫のお話知らないのォ!?」
それは、とある日の夕暮れ。
私がいつものように万事屋銀ちゃんで皆と談笑していたとき
神楽ちゃんが言い出したのだ。「眠り姫って何アルか」、と。
「知らないアル。私の故郷ではそんな話なかったヨ。 に手取り足取り教えて欲しいネ」
「ちょ、待ッ、ざけんな神楽! の手と足は俺のモンだ!」
「痛いコト言ってる銀ちゃんは置いといて、いいよ、教えてあげるよ」
「僕も詳しい話知らないんで聞いてていいですか?さん」
「うん、もちろんだよ新八くん」
ぎゃあぎゃあ言ってる銀ちゃんを無視し、私はことの次第を話しはじめる。
つまりは、お姫さまが魔女の呪いにかかっちゃって百年眠り、王子様のキスで目覚めるって話だ。
話し終わると神楽ちゃんは目を輝かせて「素敵な話アルな、ババーになった姫でも愛した王子はすごいヨ」とかなんとか的外れな感想を言い(わかってんだかわかってないんだか…)
新八くんは話の筋というよりむしろ、「凄いやさん、話し上手ですね」と何故か私をおだて始めて、
銀ちゃんはといえばこんなコトを言った。
「安心しろ、お前がもし百年眠ったら、俺が起こしてやるからな」
「銀ちゃんが来てくれるなら、私、百年眠るくらいわけないよ」
ばか、百年待たなくたってキスなんていつだってしてやる。
そう言って笑う銀ちゃんと、そんな銀ちゃんに微笑み返す私を見て、神楽ちゃんが「これだからノロケは困るアル」と呟いた気がした。
百年眠る。
(06/09/18 眠り姫とか白雪姫とかシンデレラとかだいすきです)