きみは知らない。
僕が朝一番に、目を覚ましてすぐに、
思わずニヤけてしまったことを。
そしてそれからずっと
顔が緩んで仕方がないことを。
「」
どうしようもなく緩む口元をなんとか律して僕はに声をかけた。
たまたま朝食のハムエッグを口一杯に頬張っていたは、思いっきり驚いて思いっきり咽る。(かわいい…)
「っぐ…ろ…ロン…おはよう」
気管に詰まりかけたハムをは水で流し込んで、それから僕の方を見て何とか返事。笑ってオハヨウ、と返すと、ちょっぴり涙目のは頷いてから「タイミングわるいよ…」と俯いた。
隣いい?目で問いかけると、もう一度が頷く。目尻の涙を手の甲で拭いながら、は大きく息をついた。
「、ビックリしすぎ」
僕が思わず笑ったら、が眉根を寄せて僕を見て「ちょうど油断してたトコだったの」、抗議するように言った。
「ロンが来てるって知ってたら、一杯になるまで頬張ったりしなかったよ」
自分のお皿に視線を落としたが、ちょっとだけ唇を尖らせて言う。
ついピンクの唇に目が行ってしまって、目のやり場に困った僕はあたふたと紅茶のカップに手を伸ばす。
「アー…なんで?」
「だって見られたくないじゃない、あんな顔してるとこ」
が困った顔でこっちを向く。同時に黒い髪が揺れる。
僕の赤毛とはぜんぜん違う、綺麗な髪だ。
なんで?、ともう一度問いかけてから、僕は紅茶を口に含んだ。
「付き合い始めて1日目の彼に、幻滅されたくないわ」
今度は僕がびっくりする番。ぶ、と勢いよく紅茶を噴き出してしまった。向かい側に座ってたハリーが苦笑する。
「なによ、そんなにびっくりすること?」
笑ったが僕にハンカチを差し出す。素直に受け取って口のまわりを拭いてから僕は問いかけた。
「ねえ、、夢じゃないよね?」
「…何が?」
怪訝に眉を顰めて、は首を傾げる。
「その…アー…僕らが付き合うだなんて」
ハンカチを握りしめたまま僕は俯く。
は笑うだろうか、怒るだろうか。それこそ幻滅されたらどうしよう。
あ、の気持ち、ちょっとだけ分かったかもしれない。(ちょっとだけ、だけど)
俯いたまま、ちらっとの顔色を伺ったら
はニヤリと不適に笑って(それでもやっぱり可愛いんだけど)僕に云った。
「夢です、って言ったらどうするの?」
「…ショックだな…覚めないように祈るよ」
苦笑して返す。するとがケタケタと明るく笑って、こう言った。
「あたしもよ、ロン」
…そんなこと言われたら、またニヤけが止まらなくなるだろ。
きょうからふたり
(07/05/07 ロンすきすぎる…!)