このまま君のいない所へ行けたらいいのに。そうしたら、君が深みに嵌るのを止められるかもしれないのに。


あたしは今日も銀ちゃんの腕に抱きしめられる。
本当に銀ちゃんがすきなのかどうかはわからない。ただ、優しくしてくれたから、甘えてるだけ。
こんなんじゃ最後に銀ちゃんを傷つけるのは解ってる、けど、別にどうなったっていい。
今がよければそれでいい。銀ちゃんだってそう思ってるはずだ。

こんな関係は銀ちゃんにとって良くない。
銀ちゃんに抱きしめられ、優しくキスされても、思うコトは銀ちゃんのことじゃない。きっとあたし、銀ちゃんじゃなくたっていいんだ。
愛されれば愛されるほどに、曖昧なまま深さを増してく曖昧なままのこの関係をあたしは心地よいと感じてしまっているのだから。








このまま君のいない所へ行けたらいいのに。そうしたら、これ以上君にのめりこむ前に全てを終わらせてしまえるのに。


俺は今日もを抱きしめる。
本当にがすきだ。愛してる。でも多分、は俺を愛してるわけじゃねーんだと思う。
寂しがり屋の女だから、ただそこに居た俺にすがりついただけ。好意を見せた俺にすがりついただけ。
ンなことは言われなくても解ってンだよ。でも抜け出せねーんだ。傷ついたっていい、傷つけたっていい。
未来なんてどうでもいい程に、が愛しくてしゃァねーんだ。

こんな曖昧な関係にが苦しんでるのは重々解ってる。
抱きしめたってキスしたって足りねーんだ。言葉じゃ追いつかねェんだ。
これ位しか、を俺につなぎとめる方法がわかんないんだって。















「なに、銀ちゃん」


「すきだ、愛してる。」

「うん、あたしも」




こうしてあたしは今日も嘘をつく。
こうして俺は今日も想いを押しつける。

お互いのことを想いながらも 自分のことしか考えられない。
自分のことだけ考えて自分のために行動する。


どちらかが素直になれば壊れてしまうこの関係に、
あたしたちはまだ 浸っていたいんだ。







素直になんて

なれないままで


(06/09/19 企画に提出しようと思ったんだけど没にしました。だってこれじゃ浮きまくるだろうからorz)