想い続けて早、三年。

わたしの気持ち、もうそろそろ受け取ってくれたっていいんじゃない?先生。







「で、ー。お前進路どうすんだ?」

放課後、わたしたち3年は面談室で進路相談を受けねばならないことになっていた。
みんなはめんどくさい、とかどうでもいい、とか言うけれど
わたしにとっては、先生と2人きりで話せる大事なチャンスだった。

まだ何ヶ月もある、なんて言ってたら卒業なんてすぐやって来ちゃう。
今日こそわたしは先生に、私がどれだけ本気かをわかってもらわなきゃいけないのです。



「先生、わたしね、結婚するんです」

わたしは精一杯まじめな顔で先生を見据えてそう言った。
先生は何か書類的なものに目を通してるような顔してるけどさっきからその陰にジャンプが見え隠れしてる。

「へぇーそうか大学進学か。お前この学力じゃちょっとキツイだろー」

一瞬肩を震わせた先生、でも動揺してることなんてわたしに感じ取られないようにさらりと返してくる(ばればれだけどね。)

「え?先生聞いてる?結婚するんだってば」

現実逃避する先生を見てわたしはむう、とむくれる。先生はわたしなんて見ちゃいないけど(だってジャンプだもんね)地道な努力は欠かさない。

「就職?わりぃわりぃ、ゆうべ徹夜でジャンプ読んじゃったから頭まわってねェみたいだわ…」

「せーんせっ、け・っ・こ・ん。私の進路は結婚ですよー」

いい加減わたしはしびれを切らして、先生の持ってた書類(と、ジャンプ)を引っ手繰ると大きな声で宣言。
先生はめんどくさそうに頭の後ろをぽりぽり、って掻いてそれからわたしを見た。

「結婚って…誰とだよ」

んふふ、その質問を待っていたのですよ先生。
わたしはにやり、不敵な(と自分では思う)笑みを浮かべて、先生とわたしの間にある机に頬杖をついた。

「わたし、先生のお嫁さんになります」

先生が一瞬ぽかん、とした表情をして、それから呆れたように笑って漫画みたいな汗を垂らす。

「俺の意思は無視ですかー、さん」

先生がこう問いかけたのでわたしはふん、と鼻を鳴らした。

「わたしの気持ちに3年も気付かなかった癖に何ゆってんの。わたしの青春、先生に捧げたんだから、せめて先生は老後をわたしに捧げてよね」

自分でもわがままだなあ、って思ったけど、でもこれがわたしの気持ち。
沈黙が居心地わるくて、それから顔も真っ赤になってしまったような気がして俯いたら、先生が「しゃァねーな、週1でケーキ焼けよ」なんて言ったのが聞こえてきた。














marry me, marry me!

(06/10/23 進路面談憂鬱だー…(汗))