昨日、仕事(…というより、仕事探し)の帰りにたまたま寄ったCD屋さんで、すんごい可愛い子を見た。
僕の周りにいないタイプの女の子だった。なんていうかこう…儚げで、例えるなら綿菓子みたいな、ふんわりとした雰囲気の子。
ほんっとに偶然だった。思わず万事屋に帰ってから銀さんに自慢したら、「オメーそりゃ夢だ、夢」そう言われた。
けどきっと銀さんも探しにいくつもりなんだろう、ちゃっかり場所を聞かれた。から、「内緒ですよ」って返してやった。悔しそうだった。

今日も仕事が終わってから、僕が昨日その子を見かけた場所に行こうとしたら、こんなトコだけ鋭い銀さんに言われた。
「新八ィ、柳の下にいつも泥鰌が居るとは限らねーのよ?」
図星すぎた。けどすんなり諦めるのも癪だったから、
「そんなんじゃないですよ、ちょっと用事があるだけです。CD買うだけですから」
とかって誤魔化しといた。銀さんは納得したんだかしてないんだか、「ま、がんばれや」としか言わなかった。(たぶんあれは納得してない)

そして今に至る。僕はアテもなくふらふらと歩き続ける。CD屋の中をもう何十分も、同じところを歩き続ける僕は傍目にみるとたぶん不審者だ。
そうだよな、CDなんて毎日買いに来るようなものでもないし、そっか、もう逢えないのか…僕はちょっと落胆した。

「すみません」

ぼんやりと棚の前で立ち止まってしまって居たらしい、他のお客さんに声をかけられる。
CDを見るでもなく立ちすくむ僕は邪魔だったに違いない、「あ、ごめんなさい」慌ててそこをどいた。
…その後、僕に声をかけた人の顔を見て驚いた。昨日の子だ。向こうもじいとこっちを見てる。
真っ赤になりそうな顔を慌ててそらした。すると向こうがにこっと笑って、こう言った。

「あの…昨日もお会いしませんでしたか?」

なんと、覚えていてくれたのだ。慌てて「あ、え、はい!逢いました!」と答えた。
しどろもどろの僕を見てその子はくすくす笑う。

「お通ちゃんのCD、買ってらっしゃったのを覚えてて。あたしもファンなんです、お通ちゃん」

信じられなかった。再会できただけじゃなくて、覚えててくれたことが何よりうれしかった。
そしてお通ちゃんに心底感謝した。お通ちゃん、僕あなたの親衛隊一生やめません。

「…あのあの、よかったら、お友達に…なってくださいませんか? あたし、お通ちゃんファンの知り合い居なくって」

もちろんすぐうなずいた。そして帰ったらすぐ銀さんに自慢しようとおもう。








柳の下の泥鰌に再会

(08/03/05〜09/04/03までの拍手お礼夢。 新八は初々しいかんじ!)