授業の終わりを告げるベルが鳴って
周りが急に騒々しくなる。
待ち遠しかったお昼休み、学食へと誘い合う声や、疲れたーもう帰りたいとボヤく声があちらこちらからあがって、今までの静けさが嘘みたい。皆が急に元気を取り戻す。
何人かにお弁当たべよう、って誘われたけれど、私は笑って断る。
付き合い悪いなあ、なんて言われるけど、冗談だってちゃんとわかってるから笑ってごめんってば、と繰り返す。
にはダーリンががいるんだもんね、と言われて、小さくはにかむ。また明日一緒にたべてね、と約束し、お弁当箱を手にもって私は足早に廊下へと出た。
私は3年E組、彼は3年Z組。
彼の教室へ向かい、仲良しのお妙ちゃんに彼の居場所を尋ねると、「さあ、ドコかしら…」何て頼りない返答。
ありがとお妙ちゃん、彼女を置いてどこかへ行く彼氏なんて最低だよね。と笑って言えばお妙ちゃんも笑って返してくれる。
探してみるよ、呟いてからばいばい、と手を振り合って、私はまた廊下を歩く。
本当にどこいったんだろ、お昼は一緒ね、ってメールしたのに。
しばらく私はアテもなく廊下を歩く。
途中でZ組の担任である坂田先生とすれ違って、「おー、。今日も可愛いなあ」とかなんとかセクハラまがいのことをされそうになったけど急いでるんで、とかわす。(先生、黙ってたらかっこいいのに…)
購買で大量にやきそばパンを買い占めてる神楽ちゃんを見かけたり(きっと早弁しちゃったんだと思う。よく太らないなあ…)、エリザベスと歩いてる桂くんの後姿を目撃したり(目立つんだよね、あの二人)したけど、私の彼はどこにもいない。
「もう、どこいったのよーっ…。 トシのばか…」
ぶつぶつと愚痴をこぼしながら歩きつづける。お昼休みなんてそう長いもんじゃない、このまま彼が見つからないままだと、私はお弁当を食いはぐれ、しかも次の授業に遅刻までしてしまうかもしれない。
そうなったら絶対アイスおごらせてやるんだから、心に誓って尚も捜し歩く。
ふと屋上の方へ足を向けたそのとき、私は嬉しくなった。
見覚えのあるあの背中
私は絶対、その背中を見間違えない
「とーしー! お昼一緒にたべよ、ってメールしたでしょ!どこ行ってたの…!」
「メール…?いや、俺は見てねェぞ?」
「嘘! だって返事くれたじゃない、わかったハートマークって…!」
「買nートマーク!? テメエ、俺がそんなの送ると思うか?」
「珍しいコトもあるもんだなあって、私嬉しくなっちゃったじゃーん」
「いや、俺はマジで知らねェつの……おい、それ送ったの何時頃だ?」
「え?えーとね、1時間目終わってすぐ位かな…」
「………総悟の野郎…!」
「え、ちょ、待ってよトシ!やだ、も、ご飯たべようよーッ!」
あなたの背中
(06/08/16 土方さんせりふ少ない…!(汗))