「ねえ心臓が止まれば人間はどうなるんだろうね、高杉」
「あ?何言ってんだテメ、馬鹿だろ。死ぬに決まってんだろが」
あたしの頓珍漢な問い掛けを高杉はばっさりと切り捨てた。
あたしはあまりにも高杉らしい答えに思わず笑ってしまう。高杉は「笑うな」と少し憤慨した表情を浮かべた。

「ねえ高杉、心臓が止まって肉体的には滅びても、誰かが想っていてくれれば人間はそこで生きられるとあたし思うの」
そう言うと高杉は面食らったような顔をした高杉は何言ってやがる、ともバカ言ってんじゃねェよとも言わずに、ただあたしに笑った。
「ねえ、高杉はどう思う。そんな生は認めない?」
高杉をじいと見て問い掛ける。高杉はちょっとだけ考えるような目つきをして、それから答えた。
「認めなくもねェ。お前の言うことが本当なら、俺の思い出の中であの人は生きてるってコトだ」
「あの人って、高杉の先生?」
「あァ」
「そっか… ねえ高杉、でもね、あたしは高杉が死んじゃったら悲しいよ。
例え高杉があたしの中に生きていても、でも高杉に触れないならあたし、そんな生なんて要らないよ。いっそ高杉を忘れたい、って思うよ」
珍しく高杉は言葉を詰まらせた。あたしは構わず話をつづける。
「何にせよね、死とか生とかって、すごく残酷なものだと思うの。
でもその残酷さは、生きているということが幸せで美しいものだからこそ生まれるものだと思うの。
だからあたし、高杉が生きているこの世界で高杉の傍に居られる、っていうのがすごく幸せ」



「…
高杉があたしの名前を呼んで、あたしはそこで目を閉じた。
目を閉じる前に見えたものは悔しそうに眉を寄せる高杉の顔で、「ねえ高杉、あたしの心臓が止まったら高杉はどうする?」…一番聞きたかったこの問いを聞けなかったことを少し悔やんだ。










今宵、星屑となりて候

(06/11/04〜12/20までの拍手お礼夢。初高杉さん…!)