「問題です高杉。これはなんの花でしょう?」

白いくす玉みてェな花が一輪、唐突に俺の視界の中に入る。
誰の仕業かっつうと、こんなことしやがんのはコイツだけだ。
いくつになってもガキみてーなことばっかしやがって、第一、俺がそんなモンの名前を知ってる訳ねえだろうが。

「…、てめー何のつもりだ」

「はい時間切れ、ぶー。正解はクローバーでした。」

「ぶーじゃねーだろ。お前ここに何しに来てるか分かってんのか?」

「しってる。江戸には観光に来ました。 …ごめんなさいもうふざけません」

きつく睨んだら急にしおらしくなりやがった。俺の目的をわかってンだかわかってねーンだか、コイツはどうも掴みどころが無い。
そんなモンを一度でも愛しいと思ってしまった俺はどうしようもなくバカだと、一瞬思った。

「だってね、いつもいつも難しい話ばっかで! あたしだって女の子なのよう、たまにはほのぼのしたこともしてみたいじゃない」

「なーに甘ェこと言ってやがンだ。てめー、ココに置いてたってイイんだぜ」

「…高杉は冷たいし、さ!」

捨て台詞みてェに言ってから俺に向かって舌を突き出し、はとっとと走っていきやがった。
あー清々すらァ!後姿に一声叫んで、俺は頭の中で練った謀略に想いを…馳せることもできなかった。

「クソ…アイツの所為で集中できねー」

そりゃがオンナだっつうのは百も承知だ。なんつーか、人並みの幸せだってアイツなら望めるんじゃねェかとも思う。
それでも、俺の傍を選んだのはアイツ自身で、俺の心中だって其れなりに理解してるはずだ。…なら我慢するしかねーだろうよ。



…そんな俺の葛藤を知ってか知らずか、向こうからが走って戻ってくる。手に持ってるのは、なんだアレ、白い輪?

「あ、高杉! あのさ、これ高杉に似合うと思うの」

俺の返事を聞くまえには背伸びして、俺の頭にその白い輪を乗せた。どうやらさっきの花で作った輪らしい、見た目より重みがある。
はといえば満足そうに俺を見てそれはもうイヤミかっつー位にっこり笑う。

「やっぱり高杉似合うね。いやーさすが、イイ男は何しても似合うんだよねー…」

「…オメーはほんっと嫌になるくらい平和なやつだな…」

え、なにそれ褒めてんの?能天気なの声に、思わず笑いが漏れた。








白詰草の花冠

(08/03/05〜09/04/03までの拍手お礼夢。 明るい高杉さん難しいです)