ある晴れた昼下がり。
あたしの叫び声は澄んだ空気に、余韻を残して大きく響いた。




「ぎゃああーすみません手違いなんですってばあァァ!」
あたしは今土方さん率いる真選組の皆様に力いっぱい追われている。そして精一杯逃げている。
何度も撒こうと試みたんだけど彼等は中々にしつこい。攘夷志士を一人でも多く捕まえるためにやっぱり努力してるんだろうなー。
そんな仕事熱心な隊士の皆様に対してあたしはといえばまず女である上に運動不足だ。もう限界はすぐそこまできてるんだけどだからって逃げるのを辞めたら素敵なブタ箱ライフが始まることになってしまう。だから逃げるのはやめない、やめたくない。

「どんな手違いだコラ!テメーいい加減諦めて捕まりやがれ!」
数人の隊士の人たちの先頭をきってそりゃもう物凄い剣幕であたしを追いかける土方さんは大声を出す。
土方さんの身体からはちょっと煙があがってて、所々ススにまみれている。なんでかっていうと、あたしが桂さんにもらった時限爆弾を誤爆してしまったせいだ。
「あ…あたしなりに申し訳なく思ってます!いい加減諦めて見逃してくださいよ!」
土方さんの言葉の揚げ足を取るかの様に言ってあたしはラストスパートをかける。次の角で隊士さんたちを撒けなかったらその時は仕方ない、大人しくお縄にかかろう。そう決意して。
「ッテメ、こら、待て……」
意外にも隊士さんたちもそろそろ限界だったみたいで。ここにきて急にスピードを上げたあたしに土方さんたちはついてこれず、あたしは一人、人気の無い路地に入って適当な物陰に隠れ、一息ついた。


しばらくは上がった息を落ちつけるのに必死で声なんて出せなかったけれど、何分か荒い息を繰り返している内に大分落ちついてくる。
やっとあたしが「はあ、疲れた」そう呟いたら何と、頭の上から「だろうな、散々逃げ回りやがって…俺も疲れただろうが」なんて声が煙草の煙と一緒に降ってきて。
ふと見上げるとそこには土方さん。「ひひひひひひ土方さん…!」吃驚してしまったあたしは慌てて逃げようとするんだけど、腕を土方さんに掴まれてしまう。
「ぎゃあああホンット土方さんを狙ったとかそういうんじゃなかったんですよ!ってさっきから言ってるじゃないですか!ほんっとネチネチしつけぇなー土方コノヤロ、解ったら離してくださいってんですよ!」
「散々パニくった挙句逆ギレかよオイ」
呆れて肩を竦めた土方さんが呟いて、あたしはちょっと落ち着きを取り戻す。離してもらおうと暴れてはみるものの、疲れきった身体は思うように動かない。
「だって…」
「…はあ、しゃァねー、辞めにすっか」
「え?」
土方さんの意外な言葉に思わずあたしは素っ頓狂に反応する。そしたら土方さんが笑って言った。

「テロリストとしてお前を牢屋にぶち込むより、俺の傍に置いときてェんだよ」









晴れた日のきみと午後

(06/11/04〜12/20までの拍手お礼夢。無理矢理オチつけました(爆))