「土方さん!」
あ、ほらまた
あたしが近づくと、いつも土方さんはなんとなく距離をおく。
たかが数センチ、されど数センチ。
それが、あたしたちのへだたり。
「ああ、。どこ行ってたンだ?」
「沖田さんとお昼ご一緒してたんですよ」
「へェ、美味かったか?」
「はいとっても! 今度は土方さんも是非ご一緒に」
「あァ、そうだなァ…」
昨日より近い。そして明日はきっともっと近い。
けど、まだ遠い。
あたしは
この距離を越えて、触れたいんだよ
土方さん、あなたのその 心に。
「ねえ土方さん」
「…あ?」
「手、繋いで下さい」
「何だ急に、可笑しな奴だな」
「いいから、ほら」
ねえ、土方さん。
いつか いつかきっとこんな距離、なくなって
こんな風にあなたの手をとって、
それからあなたに寄り添うから。
そしたらきっと あなたは 笑って
僅か数センチの恋
(08/03/01 こういう中途半端な立場が一番難しい)